「インコタームズ(Incoterms)」とは、国際商業会議所(ICC)が制定した貿易取引条件とその解釈に関する国際規則(International Commercial Terms)の略語。インコタームズが制定される以前は、貿易取引条件の解釈がそれぞれの国で異なり、しばしばトラブルの原因となっていた。
制定後は、商慣習の変化に伴って数次の改定を経て、現在は「インコタームズ2020」が出されている。インコタームズは、アルファベット三文字(例えば、CIF、FOBなど)で表され、売主・買主間(当事者間)の物品の引渡しに関する危険の移転の分岐点、役割や費用(運送の手配と運賃の支払、保険の手配と保険料の支払、通関手続きと費用の負担など)について、それらに関する基本的な条件を定めている。ただし、支払われるべき代金や支払方法、物品の所有権の移転時点、契約違反の結果などについては定めていない。
「インコタームズ2020」では、インコタームズ2010と同様、「いかなる輸送手段にも適した規則」と「海上および内陸水路輸送のための規則」の2クラスに分類し、全部で11規則ある。インコタームズ2010では、2000年版のDグループにあった4条件が廃止され、新たに2つの規則(DAT、DAP)を加えた合計11の規則で構成されていた。インコタームズ2020では、インコタームズ2010にあったDATが消滅し、これに代わってDPUが新設された。
2021年6月28日 掲載