冷戦の終結に伴い、地域及び国際社会の安全と安定を損なうおそれのある通常兵器及び関連汎用品・技術の過度の移転と蓄積の防止という課題に関し、東西の区別を越えた輸出管理体制を設立する必要性が強く認識され、ココム(対共産圏輸出統制委員会:旧共産圏諸国に対する戦略物資統制のための枠組み)参加国を中心に協議を開始。1994年3月末にココムが解消されたことを踏まえ、1995年12月、新たな輸出管理体制の設立について関係国間で政治的な申合せが行われ、1996年7月の設立総会をもって正式に「ワッセナー・アレンジメント(The Wassenaar Arrangement on Export Controls for Conventional Arms and Dual-Use Goods and Technologies / WA)」が発足。通常兵器及び機微な関連汎用品・技術の移転に関する透明性の増大及びより責任ある管理を実現し、それらの過度の蓄積を防止することにより、地域及び国際社会の安全と安定に寄与すること、及びグローバルなテロとの闘いの一環として、テロリスト・グループ等による通常兵器及び機微な関連汎用品・技術の取得を防止する目的で設立。
2021年6月現在、42か国が参加。事務局はウィーンに設置されており、全ての重要事項は、年1回開催される総会において決定される。総会の議長は各国の持ち回り。一般作業部会は、主に政治的事項の協議及び情報交換を目的として年2回開催される。一方、専門家会合は規制リストの見直しのために年2回開催される。
WAは、法的拘束力を有する国際約束に基づく枠組みではなく、通常兵器及び機微な関連汎用品・技術の供給能力を有し、かつ不拡散のために努力する意志を有する参加国による紳士的な申合せとして存在。ココムがその対象地域を共産圏に限定していたのに対し、WAは特定の対象国・地域に的を絞ることなく、全ての国家・地域及びテロリスト等の非国家主体を対象としている。
WAの活動の一つに輸出管理がある。参加国は、通常兵器及び関連汎用品・技術に関してWAで合意されたリストに掲載された品目について、国内法令(我が国においては、外国為替及び外国貿易法、輸出貿易管理令、外国為替管理令等)に基づき、輸出管理を実施。このほか、参加国は、通常兵器及び関連汎用品・技術の移転に関する透明性を高めるため、通常兵器の移転や汎用品・技術等の情報を参加国間において通報している。
詳細については、以下のURLを参照ください。
Home – The Wassenaar Arrangement
保税地域とは、外国貨物の保管・加工・製造・展示などができる場所のことで、輸出入する際に貨物を留置きする場所を指す。税関当局の管轄下にあり、関税法第30条で「外国貨物は原則として保税地域以外に置くことはできない」と定められていいる。保税地域外で輸出入申告するには特別な許可が必要となる。保税地域には指定保税地域(一時仮置き場所)、保税蔵置場(長期保管が可能)、保税工場、保税展示場、総合保税地域などがある。
このうち保税展示場とは、外国から本邦へ到着した貨物を展示する会場として、税関長が許可した場所を言う。この制度は、公的機関が行う外国商品の展示会や、国際的な規模で行われる博覧会などの運営を円滑にするために、関税などを課さないままで、簡易な手続により展示したり、使用する場所として設けられる。基本は展示会ごとに主催者が保税展示場として申請するが、愛知県常滑市にある愛知国際会議展示場(Aichi Aky Expo)は日本で唯一の常設の保税展示場となっている。同展示場の詳細は、以下を参照。