日本の安全保障貿易管理体制(リスト規制とキャッチオール規制)

日本における安全保障貿易管理制度は、別項で解説の国際輸出管理レジームでの合意を受けて、法律である「外国為替及び外国貿易法(外為法)」第 25 条、第 48 条、政令である「輸出貿易管理令」・「外国為替令」等に基づいて実施されている。法律や政令による規制方法には、特定の貨物や技術に関する「リスト規制」と、主に需要者と用途に関する「キャッチオール規制(補完的輸出規制)」の2つの制度がある。

このうちリスト規制とは、国際輸出管理レジームで合意された、(a) 通常兵器やその技術、(b) 軍事用途にも転用可能な高度の汎用品(貨物・技術)を規制するもので、全世界を対象としている。貨物については、輸出貿易管理令の別表第1の1の項から15の項の品目が、技術(プログラムを含む)については、外国為替令の別表1の項から15の項に記載されているものが、規制対象になる。技術仕様(スペック)は貨物等省令(「輸出貿易管理令別表第1及び外国為替令別表の規定に基づき貨物又は技術を定める省令」)に規定され、該当するものは必ず、経済産業大臣の「輸出許可」が必要となる。

一方キャッチオール規制とは、リスト規制品目以外で、大量破壊兵器等の開発等および通常兵器の開発等に使用されるおそれのあるもの(ただし、食料品や木材等の一部品目を除く)を規制し、輸出貿易管理令別表3に掲げる国・地域(国際輸出管理レジームに参加し、かつ輸出管理を厳格に実施している26カ国)*を除く全地域が対象となる。品目の用途や需要者客観要件および経済産業省から通知を受けた場合のインフォーム要件に該当する場合に経済産業大臣の輸出許可が必要になる。また、輸出貿易管理令の別表3の2*では、国連安全保障理事会決議において武器禁輸等に関する制裁措置の決議が採択された地域を仕向地とする場合において、他の地域と比べ厳格な輸出管理を行うと定めている。

*輸出貿易管理令別表3に掲げる国・地域
アルゼンチン、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、ブルガリア、カナダ、チェコ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、イタリア、韓国、ルクセンブルク、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、スイス、英国、アメリカ合衆国

*輸出貿易管理令別表3の2に掲げる国・地域
アフガニスタン、中央アフリカ、コンゴ民主共和国、イラク、レバノン、リビア、北朝鮮、ソマリア、南スーダン、スーダン

※詳細は以下のホームページを参照下さい。
||METI||安全保障貿易管理**Export Control***
輸出管理の基礎 | 安全保障貿易情報センター (CISTEC)

2021年6月28日 掲載